減価償却
適正な期間損益計算を目的として、固定資産※1について、
時間の経過または使用による価値の減少を費用として目に見える形で認識していきましょう、
という会計上の手続きをいいます。
そしてそして、その減価償却すべき固定資産のことを減価償却資産※2といいます。
※1 棚卸資産、有価証券及び繰延資産以外の資産のうち、
土地(土地の上に存する権利を含む)、減価償却資産、電話加入権及びこれらに準ずる資産をいう。
※2 棚卸資産、有価証券及び繰延資産以外の資産のうち償却をすべきものとして一定のものをいう。
なお、事業の用に供していないもの及び時の経過によりその価値の減少しないものを除く。
3つの計算要素
減価償却を計算するにあたっては、3つの計算要素が必要となります。
それは、取得価額・耐用年数・残存価額です。
「取得価額」は、この資産を取得するにあたってどこまでを取得価額に含めるか、
「耐用年数」は、この資産を何年で費用化していくべきか、
「残存価額」は、この資産の価値を幾らまで残すか、
ということをそれぞれ表しています!
ただご存知の通り、残存価額については廃止となりました。
これらは、主に資産(費用)計上すべき金額に影響してきます。
取引後の割とはじめのお話です。
計算の裏にはこういった概念が存在しているんですね~(゜_゜)
償却方法の届出
資産に計上すべき金額が決まりました。
次にやるべきことは、この金額をどの方法で割り振っていこうか(費用化)ということですね。取引後の数
年間のお話です。
この取得価額を費用化する手続きを「減価償却」といいます。
そしてこの減価償却については方法がいくつか用意されており、それに関連して届出が必要になってきま
す。
ここでは個々の方法の説明は省かせて頂きます。
届出については、条文上、
・減価償却資産の償却の方法は、耐用年数省令に定める種類ごと(機械装置等については設備の種類ごと)に
選定しなければならない。(法人税法施行令51①)
・内国法人は、設立等の日の属する事業年度の確定申告期限まで※3に、規定する償却の方法のうちそのよるべき
方法を書面により納税地※4の所轄税務署長に届け出なければならない。
ただし、一定の減価償却資産についてはこの限りでない。(法人税法施行令51②)
※4 内国法人は、本店又は主たる事務所の所在地をいう。
となっています。
要は、償却方法を選んで届け出て下さい、選べないものは届出不要ですということです!
このように設立1期目からの選択が、いちおう必須となっております。
しかし、この届出を忘れたからといって罰則というものはなく、
この場合は条文で定められている「法定償却方法」が選ばれることとなります。
ちなみに設立1期目に必要な届出はこちらをご覧になってください。
効果など
減価償却を適切に行っていくことで以下の効果が生じます。
・毎期の損益の計算を適正に行うことができる。
・固定資産の価値の目減りをだいたいで把握することができる。
・決算書上は費用として認識されるが、現実的にはキャッシュは出ていかない。
・利益が出ていない期には償却しないことも選択できる※5。
※5 現実にはこういうやり方もあるということですね。
条文は、償却しなければならないとはいっていないんです(法人税法31①)。
条文の面白い読み方と言えます。
留意点
減価償却については、総論としても個別の論点としても改正がよく入る部分となります。
直近の改正点は、平成28年度の税制改正で、
建物附属設備と構築物に改正が入りました。
それだけ、お上はデータを常に収集しつつ修正もしているということでしょう。
ですので意外と気にかけるべき論点となるのです(*ノェノ)